2020年度採択プログラム

2020年度の「スカラシップ」採択プログラムは、下記に決定いたしました。


採択者:飛田ニケ

研究テーマ:「上演のインフラについて」

研究費使途:旅費、観劇費、書籍代ほか


【飛田ニケを採択した理由】

採択者の決定自体は2020年の春頃に既に終わっていましたが、発表時期がズレ込んでしまいました。それはコロナ禍という特殊な事態がそうさせたということもそうですが、飛田さんの活動テーマの一つである「(上演の)むなしさ」について理解を深めるために時間を要したからでした。

飛田さんとコミュニケーションを続けていく中で、私自身思うことがありました。

コロナ禍という未曽有の事態に陥り「とにかく何か活動を行う」ことを望まれるような、ばらまき助成金の環境が生まれた状況下において、「<演劇>という形式の『むなしさ』だけが残った」と感じたのです。

そこで、改めて飛田さんの活動テーマが我々のスカラシップ事業のモットーである「活動をしない、成果を要求しない」という趣旨にマッチしているのではないか、と思います。

生産階級のいわゆる「下流」において「成果」や「効率」が求められる一方で、「上流」における仕事の無駄、「ブルシッドジョブズ」と言われるような特権化された「管理業務」が経済活動を空虚化している今日の世相に反するような我々の活動、飛田さんの活動テーマかと思います。

今年度も残すところ三ヶ月となりましたが、どうぞ関係各位におかれましては、飛田さんの活動にご期待頂けますと幸いです。

(横田宇雄)


【採択プログラムについて(飛田ニケ)】

「上演を形式化したい。ここでは以下のように。

上演は、そのはじまりにおいてすでにその終わりを期するような、それゆえに最中にも再帰だとして認められうる形式性を帯びている。働きは、そのつど再帰したものの反復としてあらわれ、扱われる。そのため上演は、反復しつづける成り立ちの時間、その持続であり、再帰(性)そのものであるといえる。」

【プロフィール】

飛田ニケ(Tobita Nike)

1995年、神奈川県藤沢市生まれ。座・高円寺 劇場創造アカデミー修了。明治大学卒。2017年から「むなしさ」の実践、2018年から集まってひとつの習慣を続ける活動をはじめる。劇団を立ち上げ中。2020年からクィアと実践とのために企画するチーム、qp(キューピー)を主宰。

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